=Ver.1.2=
倉本 徹
97.4.23改訂=98.4

  

はじめに

 図形問題を解く基本は、情報収集に始まり、公式を活用することで終わる。
 比をマスターする
 問題が解けた喜び、を与える
 

総論

T角度・面積・体積の基本公式
@ 角度の公式・・・@)平行線の性質
            A)三角形の内角の和=180度
            B)多角形の外角の和=360度
A 面積の公式・・・底辺×高さ(÷2)
B

体積の公式・・・底面積×高さ(÷3)
     ※長方形と柱体が求積公式の基本

C

図形と比(応用レベル) ・・・@)相似な図形においては、対応 する辺の比は同じ
                A)高さが等しい図形の面積比は、底辺の比と同じ

D 図形の性質に関する公式→省略
 
U公式適用の条件[TのA、B]
@ 面積・・・・・・直交(直角に交わる)する2直線
A 体積・・・・・・直交する面と1直線
 
Vチェック・ポイント(基本レベルの問題)
@ 求角問題では、図形の中に角度を書き入れているか
A 求積(面積)問題では、底辺と高さ(直角に交わっているところ)を見つけているか
B

求積(体積)問題では、底面積と高さ(直角に交わっているところ)を見つけているか

C (平面図形の)比の問題では、[長さの比]⇔ [面積比]などの対応する比を押さえているか
D 図形の性質に関する問題→省略
E 円周率の指定をチェックしているか。円周率の計算が2つ以上あるときには、分配法則を使っているか。計算ミスはないか。
 

(まとめ)求積問題は、直交と平行線の発見、そして、それらを活用することにある。

 
Wチェック・ポイントの説明と対策
@ 角度を書き入れることにより、わからない角度が明らかになり、その角度を自然と計算することになる。 
  ⇒(対策)角度の書き込みをさせること。 
A

底辺と高さがわからなければ、面積は計算できない。
  ⇒(対策)直角の場所に印をつけさせること。

B

底面積と高さがわからなければ、体積は計算できない。
  ⇒(対策)直角の場所に印をつけさせること。

C

対応する比を押さえていなければ、どの部分が計算できるのかがわからない。
  ⇒(対策)図形の中に書き込みをさせ、比例式を書かせること。

 

(まとめ)問題の糸口は、書き込む(図形を書く)ことから見えてくる。

 
X発見と操作の基本(応用レベルの問題)
@ 公式がそのまま利用できる問題か、できない問題かを、まず識別する。
A

そのままでは、公式が利用できない問題では、次の作業を行う。
   @)補助線(図形の分割)によって、公式が利用できないか
      ※ここでの補助線の引き方は、2(〜4)点を結ぶだけのレベルである
   A)平行線がないか
     ⇒求角問題やB、Cに関係する
   B)合同・相似・等積図形などがないか
   C)[長さの比]⇔[面積比]の関係が使えないか
   D)補助線によって、B)が作れないか
      ※ここでの補助線の引き方は、次の方法である。
        1)ある辺に平行な線を引く
        2)垂線を引く(高さを作る)
        3)辺を延ばす(立体では面を拡張する)
        4)ある図形を作る⇒超難問
     ニ隣の(共通な)図形を加えることによって、公式が利用できる図形にならないか

 

(まとめ)これらの作業のすべては、公式が援用できる形に変形することにある。


各論 : 省略(いつかは制作します)

T 平面図形と角度・面積
U 平面図形と比
V 平面図形と移動
  @折り曲げ問題      ⇒合同(相似)や二等辺三角形(正三角形)を見つける。
   A平行移動の問題  ⇒ポイント毎に作図し、計算する。
   B回転移動の問題  ⇒おうぎ形を料理する。
   C点移動の問題(グラフが絡むことが多い)  
                                    ⇒角に来たとき(折れ曲がったところ)が勝負
W 立体図形と体積・表面積
X 立体図形と切断
Y 水そう

家庭学習での関与と指導の仕方

@解答集は生徒には渡さない。(前提)
A解答チェック後に、別の考え方でやっていないかの確認のために見せる。
B文章題の指導と較べて、きめ細かな指導が要求される(手間暇をかけること)。
1) 計算ミスがないか、問いかけの答えになっているかを、まずチェック。
※何らかの式が書かれてあれば、計算のミスと問いかけの読み違いによるミスが多い。
2)

問題の図形の中に、与えられた数値を書き入れているかどうかを、チェック。
  ⇒書き入れさせて、再度チャレンジ。

3)

解答集から、どのような作業(解き方)を、どのような順序で行っているかを、まず保護者が判断する。
  ⇒解答集の作業の順序に従って、こまめな作業をさせながら、その都度チャレンジ。
   ヒントは小出しにすること。

     (ヒントの種類)
   @補助線が必要な問題(XのA参照)
   A合同、等積図形を発見する問題
   B相似を発見し、相似比を利用する問題
    C長さの比⇔面積比の問題
   D共通な図形を利用する問題(仲人問題)           

4)

チャレンジしてもわからなければ解答集を見せて理解させる。

5)

解答集を見てもわからなければ、あきらめる。または、講師・チューターに質問する。
 ※理解できない問題は、ほかの多くの生徒も理解できないと考えるべし。あきらめの良さも大切。

6)

図形の移動の問題や立体の切断の問題では、模型を保護者が作って、実際に動かしたり、切ったりさせる。
  ⇒抽象的な問題に、具体性を持たせる。
  ※文章題を線分図・面積図で考えるのと同じ発想(図形の移動)ボール紙、セロハン紙
    (立体の切断)トーフ、寒天・ゼリー、羊羹・外郎
     ※出来れば透明なもの

7)

複雑な図形では、計算するたびに同じ図形を書き加えさせる。できれば必要な図だけを強調させる。
  ⇒図が複雑になると、どの図形の性質や公式を使ってよいのかがわからない。
   どのような難問も基本的な図形の性質と公式の組み合わせである。図形をいくつも書くという
   のは、問題を単純にすることである。多くの生徒は、書く手間を省く傾向にあり、そのため、
   問題が解けないことが多い。


終わりに

間違えた、わからない ⇒ 解答集で理解する
この作業だけで学習を進めることは避けたい。
その理由は、次の3点。
@ 間違えた原因を追求しておかねば、同じ間違いを繰り返す。
A 単に読むだけで理解しても、自分で解いたわけではないから、解き直すとまたわからない。
復習は最低3回(翌日+1週後+1ヶ月後)
B 算数の問題ほど、解けたときの喜び、充実感が大きい科目はない。
問題を解く過程に、少しでも参加させることが、算数に対する嫌悪感を和らげ、苦手意識も薄れさせ、
自信につなげることになる。

(終わりの終わり)

@、Aの繰り返しを少なくするとともに、Bの解く楽しみや喜びを感じ、自信につなげて欲しい。