Ver.1.2
倉本 徹
97.4.25改訂=98.4

  

注意(うっかり)ミス

@ 記号の転記ミス  × ⇔ ÷    + ⇔ −    × ⇔ +
A 数値の転記ミス  6 ⇔ 0     6 ⇔ 8
B

小数点の転記ミス 32.58 ⇒ 3.258や 325.8

 

計算のきまりに関する間違い (整数+小数+分数に共通)

@-1) 計算の順序の間違い
÷B×C ⇒ (ミス) A÷(B×C)
  特に、(A+D)
÷B×Cのような括弧つきの場合に多い
A-2) 計算の順序の間違い
A+B
×C ⇔ (ミス) (A+B)×C
B 筆算のとき、上下をきちんと揃えないことによる間違い
C 足し算(かけ算)での繰り上がりの間違い
   
D 引き算での繰り下がりの間違い
   
  ※わり算にも言える
E かけ算で、数の間に0がある計算での間違い
   
F

除法の原理(ためし算)の間違い(重要)
  A÷B=C・・・D ⇒(ミス) B×C=A+D など


整数計算の間違い(小数+分数に共通)

@

九九の間違い
  ※順番通りでないと、九九が正しく言えない、のではダメ。

A 大きな数の計算での0の個数の間違い

小数計算の間違い

@ 小数点の付け方の間違い
   ※加減 ⇔ 乗除 の区別がついていない

       
A

わる数、わられる数の小数点の移動の間違い
     ※同じ個数ずつずらしていない

B

余りの小数点の位置の間違い
   ※移動した小数点で答えている           例: 省略

C 四捨五入して小数第2位まで求める問題で、第2位を四捨五入してしまう間違い
D

四捨五入のときの小数点以下の0の付け忘れの間違い
    ※0も数である。通常は省略されている。    例: 省略


分数計算の間違い

@ 最初に約分しないため、分母子が大きくなり、約分ができない間違い
A

通分の仕方が判らない間違い
        

B

かけ算で帯分数のままかけてしまう間違い
       

C わり算で、割られる数を逆数にしてしまったり、割られる数も割る数も逆数にしてしまう間違い
       
D

約分のし忘れの間違い
     ※13や17、19などで約分する問題では、間違えても止むを得ない。


逆算の間違い

@ A−□=B ⇒(ミス) □=A+B
A

÷□=B ⇒(ミス) □=A×
     ※逆算は、+⇔−、×⇔÷ と覚えている間違いである。


長い計算問題の間違い

@ 一部分しか計算しないことによる間違い
   ※A÷B−C÷D×E+F×
     などで、+や−で区切られた式をそれぞれ[島]と呼べば、この[島]ごとの計算は余    白でやり、その都度、その結果を転記する習慣をつけさせること。このとき、横につなげずに縦に縦に転記すること。      
     例:  A
÷B−C÷D×E+F×
  
    
 
=  H   −     I      +  J
A

長い式の逆算での間違い
      ◎□や×のついた「島」を、 などで囲まないことによるミス
      ◎戻し方(逆算)に正確さがないミス

      ◎先に計算できる「島」などを、計算しないことによるミス
    などが考えられる。


【まとめ】以上から、ミスの原因をまとめると、

@

計算のきまりをしらないために起きるミス
     ⇒計算のきまりを最初からやり直す必要がある。計算演習を積むこと。 

A

うっかりミス と 急ぎすぎによるミス
   ⇒字を丁寧に書き、注意力をつける必要がある。急いだところで、数秒の違い。
     (車の運転と同じ)

B 計算をおざなりにしているミス
   ⇒暗算に頼らず、筆算を確実にし、その結果を書き写す癖をつける必要がある。

【発見方法と対策】

@ 間違いの多くは、計算の方法を学習したときに、徹底した演習をやっていないためである。通常、学習した時期(2〜3週間)は、計算漬けになるべきである。
A

間違いのパターンは、個性的である。すなわち、1人1人異なるので、間違いのパターンをまず発見しなければならない。 その発見は、本人が行うのは難しく、保護者がやるべきであろう。 そのためには、1つの問題はまとまった位置で行い、式や筆算を残しておく必要がある。あたりかまわずバラバラに書くと、間違いを発見するのに時間がかかり、疲れてしまう。そして、その結果を、本人に示し、その種の計算に出会ったときには、特に注意するようにさせることが大切である。

B

計算の方法は、ほぼ本能的に記憶しており、修正は不可能に近い。ただ、自分はどのようなときに間違えるのかが判っておれば、訂正は可能である。

C 頭脳が寝ているときにやるほうが、間違いも多くなるので、パターンの発見もしやすく、目覚ましを兼ねて、寝起きにやるのが好ましい。
D

毎朝、最低5問。夕刻や夜などは避けたい。ただし、習い始めは、徹底的にやりたい。

【志望中別・演習する計算問題の目安】

@ −、×÷、( )、{ }の個数による。
  ◎聖霊、大成、春日丘       →3〜5個
  ◎椙山、金城、名古屋学院、愛知→4〜7個
  ◎南山男子、淑徳          →5〜8個
  ◎南山女子、滝、東海         →7〜10個

【計算にこだわる理由】

@ 年毎に生徒の計算力が落ちているように思われる。その原因は、
   @)演習量の不足と手抜き
   A)フォーマルにしたがって計算しない
ためである。
A

計算力が弱いと、計算問題のみに止まらず、文章題や図形問題にも影響し、算数全体での失点が大きい。

B 入試における科目毎の合格者と受験生の平均点の格差は、算数が最も大きく、よって算数が合否を決する可能性が極めて高い。
C 合否が決するのは、4教科400点入試で10点〜20点の範囲内である。計算が正しくできるだけで、10点の加点は可能なはずである。その10点にこだわりたい。