=Ver.1.2=
 倉本 徹

    

はじめに

 文章題を解く基本は、数量関係の押さえに始まり、等しい関係を見つけることで終わる
 速さ、比(割合)をマスターする
 問題が解けた喜び、を与える
 
 

総論

T.数量関係の基本

和と差の関係 A+B=C ⇔ C−B=A
積と商の関係 A×B=C  ⇔   C÷B=A
 ※すべての数量関係は、@、Aの組み合わせで構成されている。

U.数量関係(積)の内容

@ 倍数関係
A 単位量 ← 以下の数量関係のもとになる
B 平均・・・・・・合計=平均×個数
C 速さ・・・・・・距離=速さ×時間
D 割合・・・・・・くらべる量=もとにする量×割合
E 比・・・・・・・・割合の発展
平均や速さにおいては、単位が異なるため関係式で間違えることが少ない。
しかし、割合・比では単位が同じため、(くらべる量)と(もとにする量)の押さえに 正確さが無い生徒が多い。
家庭でのチェックはこの点を特に注意して欲しい。

V.チェック・ポイント

@ 問題文を読んで、数量関係が正しく押さえられ、公式が正しく使われているかどうか
A そのために、問題文を絵(線分図・面積図・表など含む)に表しているかどうか
B 計算が正しく行われているかどうか   (数値の転記ミスがないかどうか)
C 問いかけ通りに答えているかどうか
D 長めの問題では、表など(速さでは絵)を利用して問題文を整理しているかどうかのチェックが大切。

W.チェック・ポイントの説明と対策

@ 問題文の意味がわからなければ問題を解くことは不可能。
数量関係の公式を覚えていなければ関係式が正しくかけない。
  → (対策)基礎からやり直すこと。
A 問題文を正しく押さえるためには、問題文を絵(線分図・面積図・表など含む)にすることが大切。
この作業は抽象的な内容に具体性を持たせることになる。

   → (対策)易しい問題から書く癖をつけること。
B 計算ミスの発見は保護者の務め。
ミスの箇所を発見しておかなければ、正しい考え方をも崩壊させる危険性がある。

   → (対策)他人がチェックできるノート作り、筆算を残す癖をつけること。
C 式を書き、計算する過程で問いかけが何だったのかがわからなくなる。
   → (対策)解答欄に転記するとき、問いかけの文(一行)だけは読み直す癖をつけること。
     転記ミスにも注意。
D 整理できなければ、解けない。
   → (対策)一応、数値に下線を引いてみる。数量関係が見えてくることもある。

 

X.文章題解法の基本

@ 表解 → 決まりを見つける(基本の解法)
A 全体を1(@など)とおく方法   → 仕事算、相当算
B 部分を1(@など)とおく方法  → のべ算、倍数算ほか

Y.短めの、文章題解法のパターン

1)どの種類の問題かを、まず、識別する。
       ※識別できなければ、表解  ← 基本の解法
@ 倍数関係、割合・比に関係した問題 → 数量関係を線分図で表す
      ※線分図は個数分書くこと
    @)(基本)和差算、消去算、倍数算
    A)(応用)分配算、年齢算、相当算
    B)(発展)倍数変化算、ニュートン算
A 積の和(差)に関係した問題 → 数量関係を面積図で表す
        ※面積図の基本形は4つ
    @)(基本)つるかめ算、過不足算
    A)(応用)差集算、平均算
    B)(発展)つるかめ算(バイトの問題)
B 速さに関係した問題 → 距離の関係などを絵にしてから、速さや時間の関係を書き入れる
         ※速さの問題は一番[絵]にし易い
    @)(基本)旅人算
    A)(応用)通過算、流水算、時計算
    B)(発展)倍数変化算などとの複合問題
2)各問題さらなるステップへ…
1 @では、全体を1か、部分を1にして実際の数値と倍数や割合・比の和や差を計算する。
2 Aでは、計算できる部分の面積を求め、たて・横の差や和で割る。
3 Bでは、どちら方向に進むかを判断し、
    @)同じ方向に進む問題 → 速さの差
    A)反対方向に進む問題 → 速さの和
      を単純に適用する。
  ※@、A、Bのいずれも逆比を利用することもある。
 
 

Z.長めの、文章題解法のパターン(流れ)

@ 問題文を読んで、情報を整理する。
 ※この段階での整理の方法は、絵や表、または、情報の箇条書きでもよい。(メモ書き)
     ※メモ書きの段階で計算できるところは計算しておくこと。
A 整理した絵や表などから、数量の等しい関係(実数と割合・比も含む)を見つける。
     ※この段階で答えがでる問題もあ
B 数量関係を図(線分図や面積図)に表す。
C 図のどの部分(和も含む)とどの部分が等しいか、または、差がいくつかを考える。
     ※数量を揃えるため、加工の必要な場合もある
 
 

各論 : 省略(いつかは制作します

T 倍数関係の問題
U 単位量と平均の問題
V 速さの問題
W 割合と比の問題
X 規則性の問題
  
  

家庭学習での関与と指導の仕方

@解答集は生徒には渡さない。(前提)
A解答チェック後に、別の考え方でやっていないかの確認のために見せる。
1) 計算ミスがないか、問いかけの答えになっているかを、まずチェック。
※何らかの式が書かれてあれば、計算のミスと問いかけの読み違いによるミスが多い。
2) 問題文の状況が判っているかを、チェック。
  ⇒ 問題文の意味がわかっていなければ問題を解くことは不可能。問題文の内容を説明する。
3) 数量関係が表や図で表されているかを、チェック。
   ⇒ 箇条書きでもよいから書かせること。
4) 表や図(箇条書きしたもの)で、どれとどれが等しい関係にあるかを、尋ねる。
  ⇒ その段階で、計算すべき事柄が見えてくる。
5) 文章題では、再度チャレンジしても解らなければ、解答集を見せて理解させてもよい。
6) 解答集を見てもわからなければ、あきらめる。 または、講師・チューターに質問する。
 ※理解できない問題は、ほかの多くの生徒も理解できないと考えるべし。あきらめの良さも大切。

終わりに

間違えた、わからない ⇒ 解答集で理解する
この作業だけで学習を進めることは避けたい。
その理由は、次の3点。
@ 間違えた原因を追求しておかねば、同じ間違いを繰り返す。
A 単に読むだけで理解しても、自分で解いたわけではないから、解き直すとまたわからない。
復習は最低3回(翌日+1週後+1ヶ月後)
B 算数の問題ほど、解けたときの喜び、充実感が大きい科目はない。
問題を解く過程に、少しでも参加させることが、算数に対する嫌悪感を和らげ、苦手意識も薄れさせ、
自信につなげることになる。
 
 

(終わりの終わり)

@、Aの繰り返しを少なくするとともに、Bの解く楽しみや喜びを感じ、自信につなげて欲しい。