河合塾での学習システムでは、その中心となるのが自宅での自学自習です。【予習クラス】であっても、それが前提になっています。新出事項を自学学習するのは大変なことですが、「学習とは自分で切り開いていく」以外にありませんから、この自学自習のスタイルを早く構築していくことが、中学・高校、延いては大学受験へとつながっていくと信じています。自宅での学習態度として大切なことは、次の項目です。
 
 自学自習 →@〜C
 真剣さと集中力 →D
 復習と基礎力の充実 →E、F
 飛ばす決断力 →G、H
 その他 →I、J
  
 

@自学自習ができていない。すなわち、自ら学習していく意欲がない

[説明]教えられるより自ら学び取ることが大切なことは言うまでもありません。そこには独立の精神が必要です。ただ、10〜12才では、そこまで要求するには無理があります。その理由の一つに、入試問題と教科書の問題とのレベル差(乖離)が、高校入試と較べて大きいことが挙げられます。ある程度は保護者の指導、特に、言葉の意味の説明やスケジュール管理、間違いのチェックは必要となるでしょう。

  高村光太郎の名言:僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる

  
 

A解けた喜びを、感動を持って感じられない

[説明]人間は不可能と思われたことにチャレンジして征服することに喜びを感じる動物です。それは努力が報われるからであり、その喜びが次の問題を解くエネルギーとなります。「山があるから登る」この精神が学習にも大切になる所以(ゆえん)です。
  
 

B分からなかった問題について、どこまで分かり、どこが分からないのかが押さえられていない

[説明]自学自習だけでは、分からない問題を解決することが不可能なことが多々あります。そのような問題に出食わしたとき、我々講師に積極的に質問することが大切です。
  質問するとき、どこまで分かったのかをハッキリさせておいて下さい。その理由は、チョットしたきっかけで処理できることがあります。
  その部分の指摘は、後まで記憶に残る可能性が高く、それが同じ種類の問題での、解決能力につながるからです。
  
 

Cつまずくと、すぐに解答集を見たり、質問している

[説明]Bにもつながることですが、ある程度、自分で調べたり、少し時間をおいて、もう一度チャレンジすることが大切です。その努力がないと、その場は理解したはずのことも、後日、同じ問題をやっても解けることはほとんどありません。それは、自分で考えたことにはなっていないために、印象として残らないからです。少しでも解くことに関与すること、それが一番大切なのです。
  
 

D集中して勉強できない。または、勉強と遊びの切り替えができない

[説明]講義中でも同じことですが、神経を集中させられる時間はわずかです。遊びと勉強を、瞬時に切り替えることは、凡人にはできそうにありません。切り替えられなければ遊びの時間を少なくする以外ありません。ただし、だらだらと勉強することは避けたいものです。なお、眠いときには寝させて下さい。眠気眼でした勉強は身に付くことは絶対にありません。
  
 

E復習がキチンとできていない

[説明]予習の学習量は、その週のテスト・ドリルの成績に大きく関係します。しかし、あくまでも「一夜漬け」の世界です。知識の定着を図るためには、復習が大切ですが、復習を等閑(なおざり)にする生徒がほとんどです。目先の得点に拘ることなく、来る入試に向けて、力をつけておきたいものです。
 なお、間違えた問題、解けなかった問題の中で、解答集や講義、質問などで分かった問題は、復習を3回することが大切です。分からなかった問題は飛ばしておいても構いません。

  なお、復習の時期は、次の通りです。
         第1回目:その日か翌日
         第2回目:1週間後
         第3回目:1ヶ月後

  これは、19世紀末の心理学者・エビングハウスの[忘却曲線]でも実証済みの事柄です。

  孔子の名言:学びて時にこれを習う、亦(また)説(よろこ)ばしからずや
河合塾生の学習サイクルなどについて】参照

  
 

F難度の高い問題を追いかけて、基礎レベルの定着を疎かにしている

[説明]難度の高い問題でも、所詮、基礎知識が複合しただけの問題です。「難度の高い問題が出来れば、基本問題も出来る」と考えて、難度の高い問題ばかり追い回している生徒がいます。基本問題が確実に出来ていればよいのですが、統一テストで正答率が50%前後以上の問題を落とすようでは、基礎知識の定着が出来ているとは思えません。このような場合には、長目の難問を解かせるより、難度がそこそこの一行問題(一問一答形式)を数多く解く方が効果的です。

 魏徴の名言:木の長きを求む者は必ず其の根本を固くする
→【V.4テキストの使用方法について】参照

  
 

G受験校の入試レベルを遙かに越えた問題をやっている

[説明]河合塾のテキストは全体に難しめです。その理由は、他の易しめの問題でミスを犯したときに、難しめの問題でカバーする必要があるからです。ただ、テキストに較べてドリルは易しめです。その理由は、テキストと同じレベルでは平均点が出ないからです。
  出来ない問題については、自分の志望中では必要かどうかなどの質問を、時々、講師に訊ねておくことが大切です。無駄な問題に悩むほど馬鹿らしいことはありません。
  
 

H分からない問題に、いつまでも拘っている

[説明]自宅学習のときには、5分考えても解き方が見えてこなければ飛ばす、テスト・ドリルでは、1分考えても解き方が見えてこなければ飛ばす。そして、一通りやった後で、飛ばした問題にチャレンジする。この癖を是非、つけさせたいものです。すなわち、あきらめの良さを身につけること。
  その理由は、時間をおけば解き方を思い出すこともあり、また、後の問題で、時間が無くなることもないからです。そして、一通りやった後で、もう一度やり直して下さい。
  
 

I日常の得点に一喜一憂している

[説明]人間はどうしても目先のものに拘ります。それはやむを得ないことですが、好不調は誰にもあることですから、日常の得点に左右されないことが大切です。ただ、良くなかったときには、「何故なのか」を点検することが大切です。その原因を、一つ一つ潰していくこと、それが一番重要なことです。原因の点検は、保護者に課せられた役目でもあり、責任でもあります。
  
 

J子供が感情的に怒る

[説明]10〜12才の子供にとって、入試という得体の知れないものについての重圧感は計り知れないものがあるはずです。そこには、思うように成績が上がらない苛立ちもあれば、保護者の期待に応えられない悩みもあるのかも知れません。怒る理由が、ときとしては一貫していないことが多くあります。そのとき、その原因が何であるのか、どのようにすればよいのかを、子供と一緒に考えることが大切です。そのときの解決方法や意見は、出来る限り、建設的(解決できる範囲)でないと、効果的ではありません。
  場合によっては、即刻、講師に相談されることも大切です。そのときには、子供を入れる方がよいのか、入れない方がよいのかを判断して下さい。判断できないときには、まず、子供を入れずに相談して欲しいものです。
   ある程度の処方箋ができれば、後は、本人の責任の下で解決する以外なさそうです。



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