開設に当たっての呼び掛け文 82.3.19
この呼び掛け文については、今後検証を加えていきたいと考えています。
その後の状況の変化を織り交ぜながら、
どこまで出資・協力者を裏切ってきたのか、または裏切らなかったのかを検証したい。
この理由は、検証無くして次の展開がないからです。
倉本徹 2000年1月26日
(はじめに) 映画に何故惹かれるのであろうか。 (新作について) 6年前から始まったエキプ・ド・シネマに代表される特定多数を対象とした<地味な>映画が見直されるようになり、かつ西ドイツ映画やポーランド映画のような自主上映による紹介作業が実って、この分野にも大手配給会社による輸入・公開が積極的になされるようになった。しかし所詮、商業主義の論理のみで左右される世界には決して永遠なる展望はなく、より特定少数の欲する作品にまで配慮が行き届くわけはない。外貨準備の肥大化によって輸入業務が平易になり、映画を生業としない者、輸入を専業としない者でも容易に紹介作業が可能となり、又、大使館ルートによる文化紹介の活発化によって、世界各地の映画が日本にもたらされることが多くなった。これらは既存の興行形態を踏襲せず、契約条件もノン・シアトリカル(非興行・非劇場)である場合が多い為、映画館では上映できず、ホール上映が主体となり、東京での観客動員数が一作品1000人に満たないこともある。その為、地方では採算が期待できず、東京以外での完全上映の可能性は薄い。 (旧作について) 昨年は、観客動員が史上最低を記録している。これは映画館数の減少を引き起こし、配給会社の方針とも絡んで、三番館・名画座・地方館において顕著に現れている。その為、旧作の鑑賞は年々困難になっている。旧作は回顧的に見られる以上に、映画研究、映画製作の基礎学習には欠かせず、かつ淘汰された結果とは言え、我々に感銘を与える作品が新作以上に多い。 (記録映画について) 一方、記録映画は70年代の運動の停滞と共に製作本数は激減し、低迷している。その原因の一ツは、これを支える観客層が薄くなっている為であり、製作費の回収が全く見込めない為である。確かなる製作者の作品を恒常的に紹介し、客層を広めている作業は自主上映に携わる者にとって必要であり、それが映画から情況への一ツのアプローチの方法でもあろう。 (専用スペースの必要性について) このような状況にあって、これ等の作品の受け入れ体制、上映体勢の確立は地方において必要不可欠である。それが輸入行為者、製作者への熱いメッセージとなり、彼等を勇気づける。現在の移動上映では恒常的でかつ恒久的な活動としては限界がある。突然の割り込み企画には全く対応出来ず、通常の上映でも会場の確保が思うにまかせないこともある。その上、企画毎の経費が予想外に嵩み、いらぬ労力も裂かねばならない。その為、専用スペースの確保は不可欠であり、附随的に観客の定着が図れ、情宣の合理化も期待出来る。さらに輸入行為者等との緊密なる提携も可能となり、特殊形態による作品はかなりホロー出来るようになる。旧作上映も長期特集が組め、記録映画の定期上映も可能となる。当然、完全会員制による死蔵された作品の上映も不可能ではないだろう。 (資料室の併設と談話室の有意性について) 専用スペースには資料室と談話室の併設を予定している。名古屋において映画関係を充実させた図書館はない。その為、映画を文献から調べようとしても出来ないのが現実である。しかし当会には雑誌1100冊、単行本600冊の所蔵がなされ、これを公開することにより、少なからずその穴埋めは可能となるであろう。さらに新たなる資料提供者の出現も予想され、一大資料センターになる可能性がある。当然、将来的にはフィルム所有も考えていくべきであろう。 (運営形態について) 運営形態は社団法人化したい。資金面では設立委員会を組織し、企画や日常活動の面では運営委員会を作る。一ヶ月のうちの第二・三・四週の金・土・日・祭を定期上映日に当て、その他は休館、貸館及び割り込み企画用とする。さらに運動関係の集会・催事等には積極的に場所の提供を計っていきたい。 (専用スペース確保に向けて) 以上の諸点を踏まえ、数年前より専用スペースの確保を80年代の最大目標としてきたのであるが、その資金的目途は年度毎の恒常的赤字によって永遠のかなたに押しやられてきた。しかし、最近、当会の条件に見合う範囲内で、その念願が適えられる可能性がでてきて、実現に向けての作業に入った。その為、これまで当・ナゴヤシネアストに好意を寄せてくれる人々、名古屋にこのような場所の必要性を痛感している人々、及び、少しでも状況を変えたいと思っている人々に、資金の提供を広く呼びかけるものである。 |
<名古屋シネマテーク>運営案
1.組織 イ.設立委員会 設立資金提供者により組織。設立資金以外の負担なし。 運営委員会への助言と勧告を与える権利を有する。 ロ.運営委員会 企画立案と日常的活動に従事。年度毎の赤字は融資により補填。 設立委員会への報告の義務を有する。 ハ.全体会議 設立委員、運営委員、債権者により構成。 基本方針の作成と変更等、重大事項の討議を行う。 2.上映方針 3.その他、基本事項(抜粋・要約) ※名古屋シネマテークとナゴヤシネアストとの関係は、ナゴヤシネアスト(≒運営委員会)が名古屋シネマテーク(≒設立委員会)から館の管理・運営の委託を受けているという形を取るのが、社団法人化の為にも最も理想的と思われる。 |
《名古屋シネマテーク》設立資金について
<設立と発足について>及び<運営案>により、お判りいただけたと存じますが、設立の為の資金を広く募っております。資金の集まり具合により、内装等の限界があり、その為、早急に資金調達額の予想を立てたく、ここにご返答をお願いする次第です。 (提供資金) 一口10万円(一人1口〜5口) ※分割可能 (提供期限) 第一期 4月中旬(最低500万円必要) 第二期 6月下旬迄 (提供資金の形態) 1.設立資金 これをもって法人化の予定。返済期限なく、解散の時点で精算 2.貸付金 5年間で返却予定。名古屋シネマテークで返却できない場合、 倉本個人の責任で返却 3.入場料前払金(一応2年間の入場料。内容等を検討中) 4.(2口以上の場合) 1〜3の方法で分割可能 (送金方法)●郵便振替口座 ●東海銀行・本店 ●持参 |