シネアスト通信
  79-3(通巻11号)
79年3月17日発行

《活動主旨》
 映画の見方・読み方は、各人各様である。しかし、我々としては、映画を余剰時間の充足と生活の浄化剤としてだけでとらえることは出来ない。少なくとも、自己の生き様を検証する一手段であり、作家との価値観の闘いの中で個々の作品と対峙しなければならないと考えている。このような我々にとって、名古屋の映画状況は、鑑賞・製作・研究など物理的側面に於いては満足出来る状態にはない。が、その因を徒らに映画館や地方自治体の文化行政にのみ求め、観客たる我々の姿勢の追求を怠ってはならない。我々自身の消極性こそが、この現状を作り出している最大要因であり、これを打ち破る方法は、我々が、我々の手で、我々の求める状況を作り出す努力が必要であり、これ無くしては、何の進展も期待出来ない。
 以上の認識に立ち、我々は独自の活動を開始し、現在に至っているのであるが、情報洪水の今日、我々の持つ情報を確実に、かつ、迅速に伝達する方法が必要不可欠である。中途半端なこの都市に於いては、直接郵送が現在考えられる最上の方法であり、その為、会員制を併用した上映形態をとっているのである。
 4月は、当会の更新期に当たる為、当会の活動内容を明確にし、新たなる会員の発掘に努めるものである。入会方法については、“ナゴヤシネアスト会員募集”欄を参照されたい。
 又、当会の運営の大部分は私=倉本が一人で担当しているが、年の所為か、肉体的疲労回復が日ごとに遅くなっている。故に、今年こそは有能なるスタッフを真剣に探し求める所存でもある。

《活動内容》
1.上映活動
 当会の主たる活動基盤である。上映作品選定に当たっては、回顧的・感傷的要因よりも、体系的・恣意的基準により企画を立案する。その為、企画のシリーズ化を図り、又、作品によっては反復上映も行われる。年最低保証は6企画であるが、76年度は9企画36作品、77年度は11企画43作品、78年度は23企画84作品上映。
イ.ポーランド映画連続上映
  ・・・日本未公開作品を自主輸入し、公開する。最低年一作品。
ロ.フランス映画研究
  ・・・(英語字幕)中部日仏学館、名古屋市教育委員会共催。企画責任−三宅亨 
ハ.ヨーロッパ映画名画選
  ・・・ポーランド・フランス・イタリアが中心。アメリカも含まれる。
ニ.日本の監督シリーズ
  ・・・これまでに取り挙げた監督−溝口・市川・小津・増村・森崎
ホ.ドキュメンタリー研究
  ・・・○○の映画を見る会共催。企画責任−中井信次郎
ヘ.ドイツ映画新作展
  ・・・(一部英語字幕)京都ドイツ文化センター共催。
ト.特別上映会
  ・・・上記に属しない作品。及び、名古屋未公開作品の上映。

2.批評活動
イ.機関誌の発行
  ・・・準月刊情宣紙“シネアスト通信”の年9回発行(作品評・時評・短評による評論)
    L'esprit de CINEASTEの年2回発行(論文形式・特集形式による評論)
ロ.批評会の設置
  ・・・年5〜6回予定。担当−山田寿男

3.製作活動
イ.製作実績
  ・・・映像名古屋と共同で、78年に16_映画「夢あざけりし風のように」を制作、公開。
ロ.機材の充実
  ・・・16_機材を中心に購入。

4.その他
イ.文献収集
  ・・・批評活動、上映活動の基礎資料として、映画文献の収集及び貸出(無料)
  ・・・現在所有書籍数・・・単行本550冊、映画雑誌1050冊
ロ.フィルム収集と輸入(レンタルは行わず)
  ・・・東京カトル・ド・シネマ、京都シネマ・リベルテなどとの共同所有
    ポーランド映画・・・すべて売り物、灰とダイヤモンド、地下水道、水の中のナイフ、
               パサジェルカ、尼僧ヨアンナ、影、戦争の真の終わり、夜行列車
    フランス映画・・・・・裁かるるジャンヌ、アタランタ号、アンダルシアの犬、(男性・女性)
    イタリア映画・・・・・無防備都市
ハ.16_機材の貸出(有料貸出)
  ・・・16_映写機・・・ハロゲン2台、タングステン1台
    スクリーン・・・・・2.6m×1.9m(ビーズ使用)
    16_撮影機・・・ボリュー、スクーピック
    16_編集機・・・一式(ビュアー、スプライサーなど)