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シャドー・トレーニングの効用と手法
=瞬発力とシャドー・トレーニング=

kuramoto 骨格完了日2003.12.10

★未完成、徐々に完成させていきます。乞う、ご期待! かな★

イントロ
入試内容と受験生の現実
目的と効果
その時期とリピート
手法
大切なことは、それぞれの問題の持つ性質なのだ
知識のリンク化と瞬発力
最後に

イントロ
 シャドー・トレーニング
 訳すれば、[シャドー=影、トレーニング==演習]ですから、
影の演習ということになります。
 プロボクサーなどが行う【イメージ・トレーニング】と同じ手法ですね。
 ですから、実際に問題を解くわけではありません。
 大学受験などのときに、数学の公式集などを直前に目を通されたはずです。
 その方法を若干修正して行うのが、【シャドー・トレーニング】なのです。

入試内容と受験生の現実
 中学入試問題は、3年後の高校公立入試に匹敵する内容、または、それ以上のものを持っています。すなわち、それなりに抽象化された問題群が、4教科に渡って出題されているのです。
 その対策には、抽象化された内容を理解するだけの精神的な発育がなされていないと対応できないのかも知れません。
 私が所属するK塾の場合、受験に必要な内容は、小学6年の1学期に終えるようなカリュキュラムになっています。ということは、6年1学期までは未習事項を学習していることになります。
 その間、新しい事柄を理解し、覚えるという作業が受験生に課せられているため、ややもすると、1週間前の事柄すら忘れてしまう状態が続いていきます。その原因は、一夜漬けのためでもあると言えます。全く覚えていない、と怒り心頭になるのは、この所為です。

   →多対1対応の能力

 その状態が徐々に改善されてくるのが、夏休みの総復習(1回目)を終え、2学期の2回目の総復習を半分ほど終えた段階になることが普通です。当然、それよりも早い受験生も、遅い受験生もおりますが、上位20%は、10月頃から、それなりに過去にやった問題との対応ができてきたかな、と思えるようになるのが10月頃です。
   →1対1対応の能力
 受験の為には、これでは不足します。全く同じ問題が出題されることがない?からです。それに対するには、過去に学習したことと、新しく出会う問題との対応関係を明確にしておく必要があるのです。
   →1対多対応の能力
 この1対多対応の能力は通常の大人であれば、誰もが持っている能力ですが、経験が少ない12才の受験生にはかなり過酷な要求といわざるを得ません。ただ、受験を選択した限り、それを克服しなければならない宿命にあるのです。当然、多くは保護者の選択ですから、それなりの責任は保護者にあります。

目的と効果
 この【1対多対応の能力】を引き出すのが、シャドー・トレーニングの目的の一つなのです。
 目的としては、まだあります。
 統一・模試テスト(広範囲のテスト)や入試においては、その直前には、暗記?科目である理科・社会に時間を取られてしまい、算数にかける時間は自ずから減少します。しかし、算数を全くやらないと、算数的な思考が弱まってしまいます。しかし、過去にやった問題であっても、まともに解き直そうとすると、計算ミスなどで意外と時間がかかり、多くの問題に当たることは不可能です。そこで、短期間に多くの問題に出会うために、シャドー・トレーニングが必要になってくるのです。
 また、多くの内容(問題、処理方法)に当たるということは、これまで[積ん読]状態で、引き出すのに時間がかかった基本的な処理方法を、縦置きに直す効果もあります。
知識の縦置きは、解答能力を高めます。即ち、瞬発力をつけるという効果があるのです。
   →知識の横置きを、縦置きにしよう!

その時期とリピート
 では、シャドー・トレーニングはどのようにやっていけばよいのでしょうか。私は、一通りの学習を終え、1回目の総復習を終えた後が最も効果的、と考えています。総復習を終えた後でないと、受験算数の全体像が見えてこないからでもあります。
 K塾の6年2学期のテキスト(全12講)は、総復習用ということもあって、各講とも【まとめ】【確認問題】【練習問題1】【練習問題2】【練習問題3】というように構成されています。
 8月末に2学期のテキストを渡されます。そのテキストの各講には、一行問題中心の【確認問題】(20問〜30問有り)を、早めに一通り解くことを勧めています。既習事項の問題群ですから、ある期間があれば処理できるはずです。
 そして、10月に行われる統一テストの1週間(この間は講が進みません)の算数の復習は、その【確認問題】を対象にしたシャドー・トレーニングで行うことを基本原則にし、その後、12月の統一テストの1週間に2回目を、冬期講習が終わった後の1月に3回目を、2月の入試直前に4回目を、と指導しています。
 この繰り返しはそれなりに効果を発揮します。偏りがちな学習を、全分野の総チェックができるからです。
 人間は忘れる動物だ、と言ったのは誰かは忘れましたが、様々な知識(など)は、時間が経てば経つほど忘却の彼方へと押しやられています。それを定期的に戻すということが、様々な場面での瞬発力となって現れてくると考えているからです。
 【確認問題】ですから、決して難しい問題ではありませんが、全分野に渡って計300問ほどに目を通すことになりますから、1週間でほとんどの基本的な知識はホットな状態になるはずです。当然、志望する中学に対応したレベルの問題もシャドー・トレーニングの対象に加えるように言っています。丁度、K塾では、2学期から【特定中学特別ゼミ】があり、そこには、その学校のレベルに応じた一行問題を中心に100問(5講)ほど提示されていますから、それも加えるように、とも言っています。

手法
 次にシャドー・トレーニングの方法(手法)に移っていきます。
 全分野の知識の確認を行うため、それぞれの分野での基本となる事柄が散りばめられた
一行問題を中心に解くことから始めます。一行問題は、解くための知識がさほど複合している訳ではありませんから、時間がかからないでしょう。中には自力で解けない問題もあるかも知れませんが、それらは、何度か復習して、自分のものにしておくことが肝心です。
 そうして得た問題群を、統一テスト週などで、総点検することになるのです。公式集の類は、よくできていることもありますが、無味乾燥なものが羅列されていることが多々あります。抽象的なものに対する構えが完成していない小学生には、苦痛なものでしかありません。その弊害を避けるため、少しでも生きた?具体性を持った問題群の方が受験生にとっては身近な存在となるのではないか、と思っています。
 その後、シャドー・トレーニングでは、それらの問題を、
解ききるのではなく、処理方法を思い出す、この問題はこうすればよかった、このような表を、このような線分図・面積図などの道具を使えばよい、と思い出すだけでいいのです。当然、その道具や整理の方法などは紙面に書くことが必要かも知れません。少し不安があれば、解答集を見て確認する。もし違っていたら、その問題だけは解き直してみることも大切でしょう。場合によっては、保護者が横についていて、チェックすることもよいでしょう。
 このようなトレーニングは、実際に解くことと比べて、時間は1/10〜1/3まで短縮できるはずです。実際に解くと、計算ミスが起こったり、転記ミスをしたりで、復習であっても時間がかかることもあります。限られた時間内に、理科・社会に時間を割かなければならない時期に、そのようなミスでやり直すゆとりはありませんし、全分野の問題に当たることが不可能な状態になってしまいます。短時間に、総点検ができるシャドー・トレーニングがうってつけなのです。

大切なことは、それぞれの問題の持つ性質なのだ
 先にも述べましたが、受験生の多くは、1対1対応の能力しかありません。問題毎に処理方法が異なっていて、一貫性がないのです。一貫性を持とうとしないと言ってもよいでしょう。その現象として、講義でも一番肝心な【処理方法】に関心がいかず、計算式の方に目が向いています。計算式の方が具体的だからです。しかし汎用性は全くありません。その問題を解くために必要なことが何なのかが分かっていないのです。例えば、ここに補助線を引くのは、このような図形の、こういう性質があるからだ、と言っても、それを理解するのではなく、その性質を描いた図を写さず、図の横に書いた計算式だけをキチンと写し、その式を覚えようと努力しているようです。
 計算式など覚えられる訳はありませんし、覚えたところで次につながることはありません。重要なのは図形が持っている性質であり、それを押さえ、それをもとにして解くことの大切さが分かっていないのです。従って、補助線も行き当たりばったりで、うまくいけばよいが、そうでないと時間だけが過ぎ去り、結局は塗り絵化してしまっているのです。美を追究した貴族社会のギリシャで開花した図形を、です。まさに、
【美ではなくグロテスク】ですね。そういえば、退廃的なグロテスクな世界でもありました。それも【美】にはかわりありませんが。
 このようなことでは、問題の解決能力など高まる訳はありません。当たらぬ八卦、当たるも八卦の世界なのです。図形の性質を理解して引いた訳ではないからですね。このことは、下のレベルだけでなく、上のレベルの受験生でも結構、適当に引いているのが現実です。「自分の子供はカンがよい」「自分はセンスがいい」と思っている保護者や受験生ほど始末が悪いのです。安定した実績を残すことができそうにはありませんね。所詮、答えが分かっているのが、大学受験を含めて、入試問題なのです。「カンやヒラメキ」のような先天的?なものではないのです。問題の持つ性質に従った最小限の基本的手続き(作業)が大切なのですが、そこが分かっていないようです。

※チョット、分かり難いですね。例をあげておきましょう。
 方陣算の基本的処理・・・同じ個数に揃える。図形問題にもあります。
 円・おうぎ形の補助線・・・多くは、中心と円周上の交点(半径)
                中心すら見つけられない受験生がいます。手を動かしたことがない証拠ですね。

知識のリンク化と瞬発力
 解くのに時間がかかる、熟考しているようだ、などと相談を受けることが多い。
 熟考しているかどうかはともかくとして、時間がかかる原因の多くは、
  1.その問題に関する様々な知識が瞬時に思い出せないこと
  2.問題毎についての基本的作業が身についていないこと
などが挙げられる。

     この項、続く

最後に
 シャドー・トレーニングは広い範囲の内容を短期間にチェックするのに向いています。4年や5年当たりまでは、学習範囲もさほど広くはありません。そのため、まだ、その必要性は少ないのですが、それでも、それに近い方法は取られていると思っています。6年になると、1週間では解決できない範囲になってきますから、もし、適した問題群があるようでしたら、実験的に、シャドー・トレーニングを行っていただいてもいいのではないかと考えています。

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